-ベストセラーとなった本の新聞広告。東京銀座の広告会社、とうこう・あいが扱った各出版社の広告が集められている。

 -新聞における出版広告にはいろいろなサイズがあるそうで、  

朝刊一面のみに掲載

 サンヤツ(三段八割)〜内容:書籍コード(ISBN)のついた書籍に限る。ひとつの原稿に異なる二社以上の出版社は入れられない。当該出版物に関係のない講演などの告知は認めない。資料請求券、クーポンに類するものを入れ込むことはできない。

 体裁:新聞文字に限る。明朝体は一〜五倍、ゴシック体は一〜三倍まで。長体、平体は不可。ロゴ、書き文字、写真の使用不可。○☆□などの記号は二倍まで使用できる。文字、ケイなど極端に意匠化してレイアウトすることはできない。

 サンムツ(三段六割)〜内容:定期刊行物(主として雑誌)を原則。単行本も可。ほか、サンヤツと同じ。

 体裁:雑誌名についてはロゴタイプの使用を認める。文字の大きさは一〜十倍。ほか、サンヤツと同じ。


 中面(第二面以下)に掲載

  全面 (全十五段)
  ゼンゴ(全五段)
  ハンゴ(半五段)
  ゴヨツ(五段四割)
  ゴムツ(五段六割)雑誌専用
  ゴダンジュウニワリ(五段十二割)

 また、岩波書店は右端、講談社は左端といったように、掲載の順序にも決まりがある。前出の『出版広告の手引き』によれば、右端には岩波書店、春秋社、東京大学出版会などの出版社が名を連ね、二番目をみすず書房、三番目を角川書店、四番目を新潮社、五番目を文藝春秋などが占めている。また左端にはいわゆる「実用書、婦人書、児童書」を手がける講談社、集英社、小学館などの広告が掲載されている。
 右端は専門書になった理由は、戦前、面が全面広告だった時期に、題字脇のスペースを法律書の四社(岩波書店日本評論社有斐閣、弘文堂)が占めていたことに由来するという。
<<(p18)

 今日(11月22日)の一面をみると

  -朝日(右から)風間書房みすず書房、北大路書房、法律文化社エンターブレイン、朝日クリエ、第一書房、英明出版会
  -読売(右から)プレジデント社、朝日新聞出版、ダイヤモンド社エンターブレイン読売新聞社、扶桑社
  -毎日(右から)展望社、戎光祥出版、新風書房、評言社、ぶんぶん書房、日正出版、ジュリアン、ポット出版

 と、なっていた。みすず書房が右から二番目だった。

  • 新聞広告が紹介されている本の中で教養・専門書の広告にある本は初めてその名前を聞く物も多い。中でも興味を引かれたのが中村元の『佛教語大辞典』と山崎雅廣、坂本和義、関邦博編集の『人間の許容限界辞典』の二冊。

仏教語大辞典

仏教語大辞典

 二十年の歳月をかけてたった一人で執筆してきた大部大冊の原稿が紛失したとき、その著者の心中はいかばかりのものであろうか。中村元は『佛教語大辞典』の完成間近の原稿を、預けた出版社に紛失されている。そのとき、編集者に対して中村は「怒っても見つかるわけでもない」の意を口にしただけで、翌日から再度、執筆を開始したのである。我が国の仏教研究の第一人者であったからそう思うのか、中村ならではの大悟の一言ではなかったか。
<<(p146)

人間の許容限界事典

人間の許容限界事典

 本書はその名のとおり、さまざまな分野における人間の能力の限界を、最新の知見をもとにまとめたものだ。函入り上製本で全千三十二ページ。台岳教授がずらりと並んだ執筆陣をみてもわかるが、本書は決して電車の中のひまつぶしに読むような雑学本ではない。ページを繰ってみればすぐ分かるように、鵡根拠な断定や面白おかしいエピソードの羅列はなく、各界の研究者による極めて真面目な研究成果の紹介になっている。
<<(p148)