高校生の球数制限のこと

済美・安楽の772球 米国人から見た高校野球(上) :日本経済新聞

 

私の甥に高校の野球部に入っている子がいる。先日の甲子園の県予選には2年生ながら6番センターで出場したがチームは初戦で敗退という残念な結果に終わった。

 

その後、新チームとなりまもなく春のセンバツの出場権をかけた戦いがはじまるのを前に、甥は他校との練習試合で初めてマウンドに上った。投球の際に、ストレートだと「うりゃ」、変化球だと「よいしょっと」と、つい声が出てしまうのが彼の癖らしい。そんなことではもともと球速がへろへろなのだから、すこーん すこーん と相手チームの快音がしばらく続いたらしい。そんな彼でも冬の間に欠点を克服し、球速をアップさせチームのエースに成長して、来年夏の甲子園予選を迎える可能性が全くないわけではない。ってちょっとは淡い期待をしてるんだが。

 

もし、自分の子供が前日まですでに通算500球以上投げていてこの試合を勝てば甲子園初出場が決まる県大会の決勝でこの試合も先発を任されるときの親の気持はどんなものなのか、子供にどんな声をかけるのかと思う。「少しぐらい身体が痛くてもここを乗り切れば、少しの間だが休めるんだぞ」なのか「ここでお前が弱音を吐いたらチームのみんなに迷惑がかかるんだぞ」なのか。

 

確かに3日で700球以上投げても、その後の野球人生にマイナスになることはなくプロの世界に入っても活躍を続ける高校生は出てくるだろう。それでも高校生に限らず、投手は一試合で投げる球数が制限されるべきだと思う。それは体力がどうのこうのより、同じチームの仲間なんだからお互いもっと試合に出場できる機会が増えたほうが楽しいんじゃないかなと思うから。「一人のピッチャーは3回を超えて投球できない」とか「「いったんベンチに下がってもそれまで3回を超えていなければ、再登板できる」とかルール変更すれば、監督は最低でも3人の投手を育てなければならないし、野手もバレーのリベロのような存在がいたり、その日にベンチ入りしている選手だったらタイムなしに守っている野手が9人を超えない限りいつでも交代ができることにでもすればたくさんの選手が試合に出られて楽しいんじゃないかと思う。